帰路編 (五)明日への約束
帰国してからは失業業保険をもらいつつ半年ほどの準備期間ののち、手探りで営業を開始した。取引する相手が法人の場合は個人の口座では何かと支障が出るかも知れないと思い、父の保有する会社の社名を変更して「すみれトレーディング有限 [続きを読む]
帰国してからは失業業保険をもらいつつ半年ほどの準備期間ののち、手探りで営業を開始した。取引する相手が法人の場合は個人の口座では何かと支障が出るかも知れないと思い、父の保有する会社の社名を変更して「すみれトレーディング有限 [続きを読む]
さてさて、ひとり立ちする!とは言ったものの何を始めればいいのか皆目見当がつかない。どんな仕事でもできるかできないかと問われればたいていの事はできる自信はある。これまで未知の場所で未経験の事ばかりしてきた。一方でどうしても [続きを読む]
ついに東京で面会したNさんは新進気鋭のベンチャー会社の社長らしからぬ朴訥とした印象の人物で、風貌も柔道界のレジェンド山下泰裕に似ている。年齢も確か同級生か僕より一つ上の同世代で話も合った。バブル崩壊の影響をモロに受けて厳 [続きを読む]
海外で転職活動をしていると面白い事が起きる事もある。職探しについては日本の転職サイトにしか登録してなかったが、インドのヘッドハントエージェントから連絡が入って来た。どこから情報を入手したのかは謎だが宛先は会社のメールアド [続きを読む]
Oの帰任でさみしくはなったがそれは同時に自分に考える時間を与えてくれるきっかけになった。僕の方でも赴任前に会社と約束した2年を過ぎても何も音沙汰がなかったので改めて問い合わせてみると確認する部署や人物をたらい回しにされる [続きを読む]
赴任当初の目的もおおかた果たし、肩の力も抜けてきた頃に社員旅行の話がもちあがった。毎年恒例で執り行ってはいるもののバジェット(予算)が少なく、小学生の遠足程度のものしかできていなかった。今年はみんな頑張り前年度比15%増 [続きを読む]
思えば前職でのインド赴任で不甲斐ない結果に終わり、今回こそはと意気込んで仕事に当たったがそれはやはりどこまでいっても自分のエゴの産物で、自分が本当に求められているものや世間の在りようとは無関係でそのツケが廻って来たのかも [続きを読む]
僕が赴任したアーメダバードはインド現法の本店ではない。メインオフィスはインド最大の商業都市ムンバイにある。20人近いスタッフがいるムンバイは家賃を含め圧倒的に経費が高いのだが、あまり取引は発生しておらず、それにとは逆に経 [続きを読む]
さて、本編に戻ろう。外務省事務次官Mさんの紹介によって僕たちはインド軍事企業BELを訪問する運びになった。バンガロールにある本社に伺う。 バンガロールはインドIT産業のメッカと呼ばれで米国企業のコールセンターやソフトウェ [続きを読む]
大きな大会が終わっても、僕とプージャンの日常は変わらず練習の日々は続いた。ただそれ以降アニールは道場には現れず、他の生徒たちもやり甲斐がなくなったのか全く姿を見せなくなった。噂で聞くところによると、アニールは国内で非公式 [続きを読む]